近世ラテン語講読:エラスムス『平和の訴え』


戦争に反対し、私(=平和の女神)を称えただけで命の危険に晒される、

こんなとんでもないことが許されてよいのでしょうか、との訴えが、

まさに今の時代にも痛々しいほどに響きます。

 今こそ声を大にして・・・

 

近世ラテン語講読

エラスムス『平和の訴え』

金曜日 17:00~18:30

 

<教材>

O.Herding ed. Querela Pacis: Opera Omnia Desiderii Erasmi, IV-II, 1977.(校訂版)(pdf を用意します)

 

箕輪三郎 [二宮敬] 訳『平和の訴え』(岩波文庫)

講師:堀尾 耕一

 

夏学期(7〜9月)全10回

7月 5,12,19,26

8月 2,9,30

9月 6,20,27

 


トマス・モアの『ユートピア』が出版された翌年、1517年に発表された『平和の訴え』は、戦争の絶えない人間社会において自らが不当に扱われていることを訴える平和(Pax)の女神が一人称で語るという体裁をとり、『痴愚神礼讃』の場合と同様、古代の模擬弁論(declamatio)に範を求めています。同時に本書は、当時イタリア半島をめぐってヨーロッパの諸侯が延々と繰り広げてきた戦争をいかに終結させるかという、きわめて現実的な課題への応答として用意されたものでもありました。人文主義的な知性がどこまで現実の政治に訴えかけることができるのか、われわれとしてもこの目で確かめずにはいられません。講読2年目となり、「訴え」もいよいよ佳境に入ってきました。今期にて読了の見込みです!



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